はじめてを、おしえて。


「あ、やめるんだ」



ヤンキーと平凡先輩は、すぐに顔を離して……。


照れた平凡先輩が、ぽかりと破廉恥ヤンキーの胸を殴りました。


ボクはほっと胸をなでおろしました。


やめてくださいよ……。


こちらの方が、ドキドキしてしまうじゃないですか。


横には藤原君がいるというのに……。


しかも。しかも……。



「斎藤、すげー赤い」



藤原君、普通のテンションで言わないでください。


あぁ、そうなのだ。


いくら優しかろうと、今時珍しい正義感の持ち主だろうと。


しょせん藤原君も、高2の男子。


そういう破廉恥な事に興味があって、当然なのです。


こんなに素敵な人なのだから、そういう経験を済ませていても不思議はありません。


だから余裕があるのです。きっと、そうです。


< 29 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop