はじめてを、おしえて。


か、顔を見られていたとは……。


ボクは身体中の血液の温度が、上がっていくのを感じました。



「恥ずかしいです。下手だから」


「嘘だ。前のノートの絵も上手かった。

ほら、貸せよ!」


「あっ、やだ、だめ!」



立ち上がったボクの膝から、藤原君の服が落ちます。


藤原君はそれを着ないまま、スケッチブックに手を伸ばしました。


ボクは逃れるように、狭い部屋のすみに移動しようとし――。



「わっ!」



床にあったコンセントを踏み、転びそうになりました。



「あぶねっ……!」



藤原君の声が聞こえて……。


ボクは、何故か顔を床に打ち付けずに済みました。


その代わりに……。


奇妙な違和感が、体を駆け抜けます。



「!!」



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