はじめてを、おしえて。
「や、やだ……っ」
本当に抵抗しなければ。
そう思った時。
藤原君は、突然右手を離しました。
「やべ。止まらなくなるところだった」
……非常にのんきな、ボクを支えたままの、藤原君の声が聞こえます。
耐えられなくなったボクはその左手を押し、藤原君から逃れ。
そちらを、振り返りました。
「……ひ、どい」
これは立派な婦女暴行未遂です。
そうでなくとも、完全なセクハラです。
しかし藤原君はボクににらまれても、焦った様子がありません。
「……ごめん。ほんの、出来心で」
なんだと――。
ボクはとっさにスケッチブックと画材を持ち、部屋を出ました。
藤原君が、何かを言った気がしましたが。
ボクはとにかく、慣れない厚底靴で全力疾走しました。
藤原君の大きな体から、逃れるように。