はじめてを、おしえて。


気持ちが悪い……。


ボクは駅で、やっと動きを止めました。




なんで、なんで、どうして……。



無意識に思い出すのは、胸に当たった彼の右手。



長い指に広い手のひらをした、藤原君の……。



いや、いや、いやっ。



藤原君は、違うと思ってた。



『出来心で、つい』なんて、漫画の中だけの事と思ってた。



そう思いたかった。



事前に色々想像しといて、アレですが……。



それは、告白して、キスをして、想いが通じ合ったその先にあるものとして、憧れただけで……。



本当は、知りたくなかった。


誰の体の中にも、本能と欲望が眠っていることに……。



だけど藤原君は、


藤原君だけは――。


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