はじめてを、おしえて。
里美先輩はボクの手を握ったままでいてくれます。
そして優しく、ボクに話しかけました。
「……怖かったんだよね。
そう、だよね。
あたしも、何も知らないときにそんな風にされたら、きっと怖かったと思う」
「…………」
「それは仕方ないけど……斉藤さんは逃げ続けてるの?
彼の気持ちも、弁解も聞かないまま」
「だって、」
「本当に嫌いなら、触ったりしたくないと思う。
それ以前に、あなたに優しくしてくれないよ」
「それは、ボクを奈落に落とすためにわざと舞い上がらせて……」
「なんでそんなめんどくせーことすんだよ。
お前、そんなに恨まれる覚えあんのか」
ヤンキーのイライラした声が、胸に刺さります。