はじめてを、おしえて。
凹凸のない、つるりとした肌。
特別美形なわけではないけど、整った顔立ち。
短い髪は、元々はワックスで動きを出していたのでしょうが、今は汗でしっとりとしなだれています。
「…………」
カッコイイかも。
見た目より何より、どんな相手にも怯まずに挑んでいく――
キラキラした瞳は、前しか見ていないのです。
「何してるの?」
「ぎょえぇっ!」
突然のぞいていた窓が開けられ、ボクは見つけられてしまいました。
逃げようと思えど、足の恐ろしく遅いボクは、すぐに追いつかれてしまいます。
「何よ、これっ」
「か、返して下さい!」
俊足で追いつき、ボクのノートを取り上げたのは、背の高い女の子でした。
「他校のスパイじゃないの!?」
「違います!断じて!」
必死で否定すれども、女の子はノートを返してくれません。