はじめてを、おしえて。


凹凸のない、つるりとした肌。


特別美形なわけではないけど、整った顔立ち。


短い髪は、元々はワックスで動きを出していたのでしょうが、今は汗でしっとりとしなだれています。



「…………」



カッコイイかも。


見た目より何より、どんな相手にも怯まずに挑んでいく――


キラキラした瞳は、前しか見ていないのです。




「何してるの?」


「ぎょえぇっ!」



突然のぞいていた窓が開けられ、ボクは見つけられてしまいました。


逃げようと思えど、足の恐ろしく遅いボクは、すぐに追いつかれてしまいます。



「何よ、これっ」


「か、返して下さい!」



俊足で追いつき、ボクのノートを取り上げたのは、背の高い女の子でした。



「他校のスパイじゃないの!?」


「違います!断じて!」



必死で否定すれども、女の子はノートを返してくれません。


< 8 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop