はじめてを、おしえて。


「……そう、なんですか」


「うん、あたしも最初は怖かった。

でも、今は幸せ」



里美先輩の後で、ヤンキーが真っ赤な顔をして、うつむきました。


そりゃあ、照れますよね。


お察しします。


聞いているボクも、お二人のひめごとを少し想像してしまって、恥ずかしいのだから。



「……結果はどうなるかわからないけど、

もう一度話をして、仲直りする努力はしようよ。

悲劇のヒロインなんて、流行らないでしょ?」


「先輩……」


「怖かったら、ついていってあげるから」



里美先輩はもう一度、ボクの手をぎゅっとにぎりました。


それだけで、まるでボクの勇気の貯蔵タンクが満タンになる気がします。






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