はじめてを、おしえて。
「あとさ、自分なんかって言うの、やめた方がいいぜ。
男はそういう面倒くさいのが、いっちばん嫌いだから」
「は、はあ……」
「そんなこと言ってる暇があったら、努力しろよな。
どうせ、なんて言ってる間は振り向いてもらえねえぞ。
鏡見て、まずはそのつながりそうな眉毛なんとかしろよ」
「ふふ、こんな怖い顔の人に言われたくないよね?」
「あ、テメェ」
ヤンキーが先輩の頭を小突きます。
先輩は痛い、と言いながら笑っていました。
「でも、一理あるよ。
この人、元は目に刺さるぐらい前髪長くて、ピアスも両耳で10個くらい空いてたんだけど、今はこの通り。
頑張って、怖がられないようになろうとしてくれてるの」
なるほど、ヤンキーの耳には無残なピアスの痕だけがあります。
髪は短く、おでこや首筋も見えていました。