はじめてを、おしえて。


「何してんだ?」



突然、ボク達の背中から、男の子の声がしました。



「藤原君!」


「……!」



女の子に藤原君と呼ばれたその人は。


今まさに、ボクがガン見していたキラキラ部員でした。



「あれ、斎藤?」


「はいっ?」



藤原君は、ボクの苗字を呼びます。



「知ってる子?」



怪訝な顔で女の子――多分マネージャーさんが、藤原君を見ました。



「一緒のクラス。
斉藤、何してたんだ?」



一緒のクラス。


ですか?


すみません、顔を見てもわかりませんでした。


ボクはいつも、教室で、休み時間は寝ています。


授業中は、授業を受けるか、隠れて漫画を読んでいて。


とにかく、周りの人間に興味がないので、藤原君の下の名前も浮かびません。


とにかくボクは、言い訳をしました。


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