はじめてを、おしえて。
……それからボクは、ママにお化粧のいろはをレクチャーしてもらうことになりました。
「あなたは若いんだから、ファンデーションなんていらないわ。
眉毛を整えて、濃い産毛を処理して、保湿用リップと色の薄いグロスを塗りなさい。
そしてまつげを上げ、マスカラとアイラインをほどこすの。
顔はそれで十分よ。
あとは髪型ね」
それは拷問に等しいものでした。
安全カミソリと言えど、カミソリはカミソリ。
それを顔に当てる時は、震えました。冷や汗で溺れそうでした。
そして一番の恐怖はビューラーなる悪魔のギロチンです。
手が震えるあまり、まぶたの肉を挟み、またもや悶絶。
そしてやっと手を離せば、まつ毛は直角に上がり、天を突いていました。