はじめてを、おしえて。


……それからボクは、ママにお化粧のいろはをレクチャーしてもらうことになりました。



「あなたは若いんだから、ファンデーションなんていらないわ。

眉毛を整えて、濃い産毛を処理して、保湿用リップと色の薄いグロスを塗りなさい。

そしてまつげを上げ、マスカラとアイラインをほどこすの。

顔はそれで十分よ。

あとは髪型ね」



それは拷問に等しいものでした。


安全カミソリと言えど、カミソリはカミソリ。


それを顔に当てる時は、震えました。冷や汗で溺れそうでした。


そして一番の恐怖はビューラーなる悪魔のギロチンです。


手が震えるあまり、まぶたの肉を挟み、またもや悶絶。


そしてやっと手を離せば、まつ毛は直角に上がり、天を突いていました。


< 90 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop