はじめてを、おしえて。


「ふう……よくってよ、よくってよ」



ママはメイクを終えたボクを見て、満足そうに言いました。


ボク自身も、鏡を見てびっくりしました。


それまでぼんやりしていた顔が、眉を整え、アイメイクをしただけで、はっきりして見えたのです。


それでも美少女というわけにはいきませんが……


昨日までのボクよりは、幾分ましに思えました。



「ありがとう、コーチ!!」


「うふふふ、よくってよ、よくってよー!!」



ママは高笑いしながら、ボクにお弁当を差し出しました。


ボクより遅く寝たのに、ボクより早く起きて朝食とお弁当を作り、洗濯物まで干し終えている。


そしてそのメイクは完璧。


ボクはどうして、今までこのママを見習おうとしなかったのでしょう。


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