はじめてを、おしえて。
「……意外な知り合いがいるんだな」
藤原くんがぼそりと言います。
「あ、あ、あの人は、ボクのアニキといいますか、その、師匠的な?」
「斉藤、ヤンキーなのか?」
「違います!!」
「ふうん」
え?
ボクの見間違いでしょうか。
藤原君の目が、一瞬鋭く細められたように見えたのです。
しかし次の瞬間には、いつもの人懐っこい猫のような目に戻っていました。
「ま、いいや。
ありがとな、斉藤」
「え?」
ありがとうとは?
ボクはお礼を言われるようなことは、何もしていません。