俺様ヤンキーくんとのキスから始まる恋



 電話の向こうで美紀がため息をつく。

「社会人て大変だもんねぇー。わかった、今度でいいよ。…マッキーの今度って、何か月先かわかんないけどね」

 美紀がぶつぶつと悪態をつく。

 「文句あるかよ」と言い返したいところだが、できるわけない。美紀の言うことはまさにその通りだからだ。

 少し前も、「今度な」と言って電話を切った記憶がある。

「美紀、お前はいつ俺に会いたい?」

「今から!今すぐにでも会いたいよ」

 美紀の声は頼りなさげに震えている。

 俺だって、いますぐ美紀に会いに行って抱きしめてやりたいくらいだ。泣くなよ、って言ってやりたい。

 だけど…――

「言ったろ、仕事だって」

「うん、わかってるよ…」

 美紀がため息まじりに呟く。

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