俺様ヤンキーくんとのキスから始まる恋



 美紀がボソッと言う。

 美紀は俺のことをマッキーと呼ぶ。俺はマッキーってリズムが好きだけど、人前でそうやって呼ばれると恥ずかしいし、恋人同士なんだから名前で呼び合いたいとか思ったりもする。

「とりあえず、上司が呼んでるから切るよ?また後でかけ直すから」

「待ってるよ」

 俺は電話を切った。

 それから美香さんに声をかける。

「仕事って?」

「あぁ、こっち来て。そこで話すから」

 俺は頷いて後に続いた。

 会社の奥にある会議室に入ると、女の人が椅子に座っていた。

「新しい取引会社の方よ。あなたと同じ新人だから、ゆっくり気軽に話してみて。なんだったら、昼ごはん一緒に行っても構わないわよ?」

 恋人じゃない女子と昼ごはん行くかよ。二人きりだろ、どうせ。

 なんて俺は思いながらも頷いた。

「でも、なんで昼ごはん行って来たら、なんて言うんすか?」

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