俺様ヤンキーくんとのキスから始まる恋



 私が名乗ると、ナツは「ふぅーん」と言った後、目を見開いた。

「って、え!?大柳って、あの有名な株式会社か!?」

 私は頷いた。

「そんなすげぇトコの娘なのか」

 私はまた頷いた。

「ふーん…」

 ベッドを出ようとしたナツが、右手首を押さえて呻いた。

「そこ、酷く出血してたのよ。応急処置だけはしておいたわ」

 私が言うと、彼はため息をついた。

「やっぱり失敗だったのか…――」

「どうしたんですの?」

 私が聞くと、ナツは俯いた。

「自殺を図ったんだ…」

「え?」

< 280 / 288 >

この作品をシェア

pagetop