らぶピクチャー(完)
それでも、歩く足は止めへん。
仕方なく、うちもそれについて行って、言葉を続けた。
「せやから、さっきから」
「お前明後日、暇?」
「・・・あ、明後日?」
「そう。明後日なら親父休みでさ、カメラ貸してもらえる。ついでに撮り方とかも聞けると思うぜ。」
後ろ向きのまま軽くピースサインをして、誰よりも、うちよりも嬉しそうな声で応答する。
この多重人格を匂わせる背中は、うちの目の前をテクテク歩いてる。
普段は厳しく冷酷で、時にこの上なく優しく、時にブラックなオーラを放ち、時に少年の如く生き生きとなる。
この日一日で、これら全部を目前とした。
かなりレアな一日やったんかもしれへん。
けど、今はそんなこと言うてる場合とちゃう。
「そんなん、お世話なりすぎや!申し訳ないわ。」