空に託す想い~叶多*空夏~



*叶多*


海斗に連れられて屋上に上がったら、屋上にはすでに空夏がいた。




すぐに声をかけようとしたけど、何故か嫌な予感がして、しばらく空夏の事を見ていた。



だけど、さっき海斗が言った言葉のせいもあり、俺は急いで空夏に駆け寄った。







もう少しで触れるって時に空夏の体が揺れ、倒れた。



その体が地面につく少し前に空夏を抱き締める。





「叶多?」





細くて、今にも消えてしまいそうな声を発しそのまま空夏は意識を失った。




「空夏?

おい、空夏!」




コトン




空夏が握り締めていたケータイが地面に落ちた。



そのケータイをみた海斗は、動揺し、慌てて屋上から出ていった。





どうゆう事だ?



海斗が空夏のケータイを持って行ったから、俺は状況が理解できずにいた。








「叶多?」




「空夏!?」




意識を失ったはずの空夏の声が聞こえ、慌てて空夏を見る。





「空夏、良かったぁー」




空夏が目を覚ましていた。




「叶多、別れよっか」




「え?」




何を言われたのか分からなかった。



否、言われた言葉は分かったが、その言葉の意味が分からなかった。




「私と別れて」




もう一度、はっきり空夏が同じ言葉を口にした。




ワカレル…




「なんでだよ!」



その言葉を理解した俺は動揺し、手が震えた。




「もう、叶多とはやっていけない、さようなら」



俺の手の中にいた空夏は、そんな言葉を残し屋上から出ていった。
























< 105 / 113 >

この作品をシェア

pagetop