空に託す想い~叶多*空夏~
*叶多*
海斗に連れられて屋上に上がったら、屋上にはすでに空夏がいた。
すぐに声をかけようとしたけど、何故か嫌な予感がして、しばらく空夏の事を見ていた。
だけど、さっき海斗が言った言葉のせいもあり、俺は急いで空夏に駆け寄った。
もう少しで触れるって時に空夏の体が揺れ、倒れた。
その体が地面につく少し前に空夏を抱き締める。
「叶多?」
細くて、今にも消えてしまいそうな声を発しそのまま空夏は意識を失った。
「空夏?
おい、空夏!」
コトン
空夏が握り締めていたケータイが地面に落ちた。
そのケータイをみた海斗は、動揺し、慌てて屋上から出ていった。
どうゆう事だ?
海斗が空夏のケータイを持って行ったから、俺は状況が理解できずにいた。
「叶多?」
「空夏!?」
意識を失ったはずの空夏の声が聞こえ、慌てて空夏を見る。
「空夏、良かったぁー」
空夏が目を覚ましていた。
「叶多、別れよっか」
「え?」
何を言われたのか分からなかった。
否、言われた言葉は分かったが、その言葉の意味が分からなかった。
「私と別れて」
もう一度、はっきり空夏が同じ言葉を口にした。
ワカレル…
「なんでだよ!」
その言葉を理解した俺は動揺し、手が震えた。
「もう、叶多とはやっていけない、さようなら」
俺の手の中にいた空夏は、そんな言葉を残し屋上から出ていった。