空に託す想い~叶多*空夏~



*叶多*


訳わかっんね…



別れる……




「なんでだよぉー!」




俺の叫び声が誰も居なくなった屋上に響いた。






俺は空夏の支えになれなかったのか?




空夏は俺の事始めから好きじゃなかったのか?





そんな風に自問自答を繰り返す。





この広い空

何処までも続いてるのかな?

私が大好だった貴方もこの空の下の何処かに要るのですか?

私の前から

急に居なくなったあなた

一通の手紙を残してあなたは消えた

貴方への想い

好きって想い

貴方が好きだった

この空に託すよ




何処からか聴こえて来た唄


俺は唄ってる奴を探す




そいつは俺の後ろにあるフェンスの向こう側に立っていた。




「おい、そんなとこで何してるんだ?」




聴こえてないかの様にそいつは微動だにしない



俺はそいつの近くに行き肩を叩く



「おいってば!」



肩を叩かれたことでそいつはやっとこっちに向いた。




綺麗に整った顔

茶髪で、少し天然パーマみたいになってる髪

その髪から覗く耳には見馴れない銀の何か



こいつ耳が悪いのか?




そう、銀の何かは補聴器だと思う。




「振られちゃっね 。

空夏、少し見ない間に凄く綺麗になったなぁ」




なんでこいつが空夏の事知ってるんだ?


しかも、俺が振られた事まで……





まぁ、それはずっとここに居たんなら見てるか?






「お前は誰だ?」





「空夏はね、俺の為に別れたんだよ」





何言ってるんだ、こいつは………



空夏が俺と別れたのはこいつの為?





「どうゆう意味だよ!

お前はいったい誰で、空夏の何なんだよ!」




「俺は空夏に妹を取られた。

実の双子の妹を…」




妹?


空夏の妹の事を言ってるのか?




取られたってどうゆう意味だ?


空夏と、彩乃だったけ?そいつは実の双子じゃないってことか?





「君は空夏に何も聞かされたないのかい?

彼氏だったんだろ?」




彼氏だったのかな?


デートも、手を繋いだりもした。



でも、一番肝心な、空夏が俺を好きだったのかが分からない。




「俺は……

空夏の彼氏だったと思う」




「だったと思うかぁー。

なんでそんなに歯切れ悪いの?

彼氏だって言う自信ない?」





「そんなことは………」




ないっとは言えない…



だってこいつが言ってることは正論だから。



もしかしたら、俺が勝手に空夏の事好きだっただけなのかな?



空夏の気持ちがわからね………














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