私とあなた
塾があったから泣いてる暇なんてなかった。涙をふいて、一歩一歩踏みしめて歩く。これから塾なんだよ。頑張ろう…。


塾が終わった後、携帯を開く。誰からもメールは届いていない。
………。あ…。

ふと思い出して着信履歴を見る。

そこにはあなたの電話番号が残っていた。

残ってた…。 消そうと思い、削除ボタンを押す。

゛本当に消してもよろしいですか?゛携帯にその言葉が現れ、下にはYesとNoがある。
………。私はゆっくりとボタンを押す。
選択は…No…。

私は歩いて、総体まできた。あの人が親友に告白する前日の日に会って話したベンチに行き、荷物を置いて、携帯を開く。さっきの着信履歴を開く…。


………………。


「神様…。アンタいるならさ、私に勇気をちょーだいよ…。」

通話ボタンを押す。少し間を置いてから、「もしもし?」と聞こえてきた…。


………「言ってなかった事を言おうと思って…電話しました。」

…。 「アドレスも、メールも消して、きっぱり諦めるんだけど、でも…しばらくは忘れられないから…ってこと!!」


「うん」…好きって…まだ好きなんて言わない。もう好きじゃない。

「今までありがとう!!楽しかった。メールとか…。」

「俺も楽しかった」

「また明日からクラスメートとしてよろしく!!」その言葉を最後に電話を切り、着信履歴から電話番号を消す…。

全部消えた。今までの思い出も全部消してこう。時間と共に。だから、今夜だけ、最後にあなたを想って泣かせて下さい。きっと明日からは笑顔でいられるから。


この恋は、元々叶わない恋だった。この恋は、しちゃいけない恋だった。どうせ無理だった。…今までの私ならそう言うんだろう。でももう、何も言わない。ただ、真っ直ぐにのびた道を確かな足取りで歩いてくだけ。


あなたを想う事はもうない。あなたが歩いた後を必死に追う事はもうない。けど、毎日あなたに感謝します。

ありがとう。
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