andante
第三章
壊れたモノ
「…帰ろう?」
優ちゃんは言う。
納得なんて、できない。
何も言わないのは、そんなのはずるい。
「…わたしのせいなんでしょ、」
「違うよ。」
「じゃあ、梨子さんはどうして?どうしてわたしのせいだっていうの?」
わたしはもどかしくて仕方ない。
優ちゃんは唇を噛み締めながらピアノの前に座る。
鍵盤にのばした手はあの頃と変わらずに細く長くキレイだ。
優ちゃんはふぅ、と息をはき、指を動かす。