andante
第四章
会いたいから
「…まーた来てんぞ?優一。」
「…」
千広くんは鬱陶しいような顔をする。
優ちゃんが大学の前で待ってくれているらしいんだけど……
「比菜はどうしたいの?」
「え、?」
「もう会わない、なんてムリだろ。優一来てるし。無視したとこで会うのにはかわりねーし。」
確かに、そう。
だけど来ないで、なんて言ったそばから会いには行けない。
「…わたし、優ちゃんを傷つけたもん。」
「ふーん。」
「…ちょっ、ふーん。て!」
あんまりにも千広くんは適当だ。
わたしが怒って見せると千広くんはぐっと顔を近づけた。