andante
優ちゃんはわたしを見てふ、っと笑う。
「もうピアニストにはなれないけど、付き合ってくれる?」
「…え、」
優ちゃんの言葉にわたしは唖然とする。
今、優ちゃんはなんて、?
わたしはよくわからなくて優ちゃんを見つめる。
「比菜ちゃんに会いに来る理由がほしいんだよ。」
“比菜ちゃんが好きなんだ。ずっと前から”
その、優ちゃんの告白は雨の音すら消し去ってしまって。
じわりと涙がこみ上げてくるのがわかった。
こんなの、ずるい。