青になるまで待って
普通、パトカーに気づいた人は安全運転になる。
その車は一見停まっているように見えるがちょっとずつ動いていた。
夜中に赤色灯を点けたパトカーと遭遇して気づかないわけがない。
ブレーキランプは点いているが、停止線を越えて横断歩道にかかるかどうかのラインでじりじり前進している。
「あっ。注意して」
運転席の警察官が指示する。
「運転手さん、赤ですよー」
助手席の警察官が車載マイクで警告する。
「まだ赤ですよー、まだですよー」
停まりそうで停まらない。
反対側の歩行者信号が点滅し、赤になった。
それに続いて車両用信号も赤になったその時、乗用車が飛び出した。
「はい信号無視」
言うが早いかサイレンを鳴らして後を追う。