その瞳で舐めあげて
「…ここよ」
だだっ広い真白で何もないスタジオ。
「…テーマは“誘うような目”
撮る方も大変だけれど頑張ってね」
「はい…」
「郁箕はいつも通り
自分をさらけ出すこと!」
立鍋さんが郁箕の背中を叩く。
「…ハイハイ。」
「じゃあ1時間後…ぐらいに戻るわね」
え?
立鍋さんいなくなるの?
「えっと…スタッフさんとかは…」
「郁箕は昔からカメラさんと
2人のときに力を発揮するのよ。
だから全てを決めるのは貴方たち
任せで作られてる。
…だからくれぐれも力は抜いてね?」
立鍋さんがウインクをして出て行く。
「では1時間後に」
郁箕が私の肩を持って言う。
立鍋さんが出て行けばすぐに
その手を払い落とした。
こいつと2人になって
どうなるかなんて
想像などつくはずがない。