その瞳で舐めあげて
シャッターを切る指先までもが

熱くなる。



郁箕は所構わず私を触り

誘い続けていく。

普段は許せなくてもこの目を見ると

抗えなくて

頬に手を添えられると



私の身体に火が付く。


音というのは2人の吐息と

私が鳴らし続けるシャッター音だけ。


さっきと形勢は逆転してる。

郁箕を見上げて写し続けている。



「丹…音」

久しぶりに声を発した郁箕。

形勢は元に戻って。


一眼レフを挟みファインダーで

見つめ合う。

取り払ってしまえば凄く近い。



「郁…箕」

カメラを持っているのは片手だけ。

左手は郁箕の右手に犯されてる。


お互い息が上がって限界に近い。

私が降参すれば負けになる。

だからシャッターを切るのは



やめることができない。


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