その瞳で舐めあげて
「…何それ」

「丹音、憶えてない?

そっちからしてきたんだよ?」

「あの撮影…!」

「そう」


「丹音はイクミが好きなんだ?」

「好きじゃない!」

声が響く。

「そこまで否定しなくても

これから好きにさせるから」

「じゃあまだ僕にも可能性は

あるんだね」

は?

何言ってんの、この2人。

「今日はアリガト、

じゃあね」

リヨルは私から一眼レフを

受け取り出て行った。


腕が緩んだ隙に郁箕から離れる。

「何、リヨルと浮気したかった?」

「浮気…

って誰とも付き合ってないし!」

「嫌い?」

「嫌い、心の奥底から」

「俺は丹音が心の奥底から

好きだよ」

「うるさい」

「そうやって意地張るとこも」


壁へ追い詰められる。



< 50 / 82 >

この作品をシェア

pagetop