その瞳で舐めあげて
「意地なんて張ってない!」

息のかかる距離で

「俺と組む撮影はこれだけ

近いんだよ?」

私の肩より少し長いくらいの

髪を自分の指に巻いて

くるくる弄ぶ。


「…それは仕事」

「仕事、なら俺と

何だってするんだ…」

「いいから退いて」

「今回演出、女性だから

かなり甘くするらしいけど。

丹音、耐えられる?」

指は首筋を撫でで

「…っ仕事だから」


唇をなぞる。

「あれ、抵抗しなくなったね」

あの撮影以来、郁箕に

捉えられると動けなくなる。

むしろ気持ちいい。


私の手を握って

私の指を自分の唇へ近付ける。

何でこんなにも動けなくなるの。


指を一本ずつ丁寧に舐め始める。

「…や、めて」

「嫌そうには見えないけど?」

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