その瞳で舐めあげて
私の指先にリップ音を鳴らす。

「嫌だ…って!」


「聞こえないよ?」

手から服の袖を捲って

手首へと血管に沿って

ざらついたものが流れる。


「ここからは恋人になってからね?」

「恋人になんてならない」

「これだけ翻弄されておいて?」

何も言えなくなる。


「ワールドツアー楽しみにしてるね」

郁箕は部屋を出て行く。

入れ替わりで入ってきたのは

立鍋さん。
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