その瞳で舐めあげて
_機内。


私の隣は演出さん。

「倉田さん、始めまして。

演出を担当します、

神山(かみやま)です」


名刺を貰う。

神山 芳子(かみやま ほうこ)さん。

「倉田です、宜しくお願いします」

出版社辞めたことになってるから

この渡す名刺は古い。



「倉田さんが撮った写真を見て

貴女の前ならこんな顔するなら

私のイメージ通り撮ってくれると思って

私が出向いたってわけ」

「それは…ありがとうございます」


「何よりも楽しみなのは

伊澤さんとの絡みよね♪」

そうだ、それがあるのに。

郁箕になんて動揺してる場合じゃない。


「倉田さん?」

「あ、はい。宜しくお願いします」


だから動揺してる暇ないのに。





明くる朝、無事到着した。

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