美しい翼を持った飛べない天使
「青、太郎くん…」

「どうした、紫之…って

何故泣いてる!?」

「今日、あげた…弁当は…っ

どうしたの…?」

「弁当…ああ、弁当!

忘れてた!今から食べ…」

「そんな必要はないよ」

さっきまで涙流してたのに

一瞬で鋭い目つきに変わる。

「は?何で…」

「そうやって誤魔化すんだ、

昔からの青太郎くんの

悪い癖だよね、それ…」

「何で怒ってるわけ?」

「そうやって知らないフリして

わざとなんでしょ!?

自分はモテてますオーラ全開にして

見てて苦しいことだって

私の気持ちなんて一欠片も

分かってくれないくせに!」

ザァー…

身体中に雨粒が染み付いて

何もかもが流れ始める。

「紫之…!」

「もう人気者が幼馴染とか

もう嫌なの!」


……


「じゃあやめれば?幼馴染」

「やめるよ、幼馴染!

もう…差し入れ運ぶの手伝わないし

マネージャーもやめる!」

「やめればいいじゃん、

止めるつもりはないから」

涙さえも全て流れてく。

止めて欲しかった気持ちを

抑えて唇を噛み締める。

パシャンと音を鳴らして

校舎に戻った。

「はぁー!あーあ、

もしもし、かげーりくーん!」

俺に頼るなっての。

雨はそのまま降り続けて

紫雲は晴れることはなかった。

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