美しい翼を持った飛べない天使
「どうした?水雪」

尋ねても首を振るだけで

「言わないと分かんないんだけど」

ずっと俯いたまま。

だから面倒だ、水雪には悪いけど。

「授業後にでも聞くし…」

水雪は変わらず俯いていて。

「ほら、俺のアドレス。

場所とかメールしてくれれば聞くし」

アドレスを書いて水雪に

紙を持たせる。

…だから何で俺が相談役やってんだか。

女子の仕事じゃねーの?

「ごめん、もう朝練終わるし行くわ」

水雪がコクンと頷く。

まだ朝なのに何もかもが

詰まったままだ。
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