ねえ、今夜だけ……【TABOO】
「私、彼がいるんです」
「はあ?」
男は舌打ちをしてから、首を傾げて私をじろりと睨みつけてきた。
────ことの始まりは、友達に誘われた女だけの居酒屋飲み会。その席の隣で、同じように男だけで飲み会をしている彼らがいた。
この男はその一味で、気がつけば一緒に盛り上がって合コンみたいになっていた。
「じゃ、なんで俺とラブホに入ったんだよ?」
男は究極的に不機嫌そうに中途半端にぶら下がったままのネクタイを揺らして私に詰め寄る。
か、顔が近い……間近で見ると、なんて綺麗な男なんだろう。