ねえ、今夜だけ……【TABOO】
肩を押されて真っ白なシーツに沈み込むと、彼の身体が折り重なるように合わさった。
はじめての温もり、はじめての香り……甘い…………
「純粋そうな顔して、身体だけ満足させろってことか?」
「そ……そうです……」
さっきまで飲んでいたお酒と煙草の味が混ざったキスがくる。目を閉じた……私、さっき出会ったばかりの人とキスしてる……
「遊び人」
「すみません……」
もう一度、あの人のキスとは全然違うキス。
「……のふりしてるだけだろ? 身体震えてるぞ」
「えっ……」
チャコールグレーのスーツが私を覆い尽くす。背中に回された両腕。暖かい……満たされる。
「寂しいだけだろ? 無理すんなよ」
投げやりな言葉。優しくて泣けてくる。
ねえ、今夜だけ……
THE END