私は「トモダチ」
「ゴメン、ちょっとトイレ」

モエに小声で断って、席を立つ。

ビルの5階に入ってるここの居酒屋は、トイレは店の外にある。

用を済ませ、トイレからフロアの廊下に出たら。


「ユイカ。俺、そんな話聞いてねーんだけど」

「カズ……。え、そんな話って?」

わかってたけど、わざととぼけた。


「だから、彼氏とか」

「あぁ、まぁ、先週末のことだし、今週はサークルなかったから、カズにも会ってなかったし」

「ざけんなよ……」

「え? なにが? キャッ」

いきなり抱きしめられた。

「キャッとか、女みてーな声出すな」

「はぁ? だって、私、女だし!」

「そんなん、知ってるっつーの」

「えっ? んんっ……」


ウソ……、私、カズにキスされてる……。

なんで?

だって、私は「トモダチ」でしょ?

そんなこと考えてる間にも、カズのキスはどんどん激しくなって……。


「……はぁっ、カズ、どういうつもり?」

長いキスから解放されたあと、せいいっぱい虚勢を張って、そう言ったら。



「誰にもユイカのこと渡すつもりねーから」



……ゴメン。

心の奥で、私は、できたばかりの彼氏に謝った。




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