読む唇
「香乃、紹介するね。私のいとこで兄貴的存在の浩ちゃん」
「はじめまして」
しらっとした口調で笑顔を見せる浩二に、私も何とか愛想よく挨拶を交わす。
「はじめまして……」
難なく私の前の席をゲットした浩二は、熱い視線を向けだした。
……隣には雅紀がいるのに……
目を合わさないようにしていても、突き刺さるような視線に心が乱れる。
身体は悠子たちの方を向いたまま、目だけを浩二に向けた。
-----この後の予定は?-----
浩二がゆっくりと唇を動かす。
会社で使う、二人だけのコンタクト。