読む唇
-----無理-----
無言で唇を動かすと、小さく首を二度振る。
-----無理して来たのに-----
『そんなこと誰も頼んでない』心の中ではそう思うのに、私の本能は素直だった。
逢いに来てくれたことに悦び、私の身体を熱くしてしまう。
-----抱きたい-----
飲み会のあと雅紀に抱かれるのと、浩二に抱かれるのを天秤にかけるズルい私がいた。浩二の唇から目が離せない。
-----乱れる香乃が見たい-----
雅紀とのたわいないセックスでは満足できない身体は、浩二の天秤に錘を追加してしまう。
私の中で天秤が音を立てて片方に沈むと、頭の中で雅紀に嘘をつくための準備を始めた。
浩二との逢瀬を楽しむために……