王様ゲーム-TABOO-
 ベランダはもう夏が近づいてるとはいえ肌寒かった。だけどお酒の入った火照った体にはちょうどいい。

 私はそのまましばらく夜空を見上げていた。

 しばらくしてカラカラと戸が開く音がして振り返ると、隼人がニッと笑って立っていた。

「まーた抜けてたのか」

 あたしは何も言わずに、目線をそらした。

 いつも。いつもいつも、王様ゲームを始めるのはコイツ。友達としてはホントにいい奴だと思うけど、最近飲み会では憎たらしく思う。

 はぁ、とため息をつくと、スッと私の両脇の柵に手がおかれた。

 え? と思う暇もなく、今度は右耳に息が吹き掛けられた。ブルリと背筋が震えた。

「なぁ、王様ゲームやろうぜ」

 いつものふざけてるときの声とは違う『男』の声で囁く隼人に、戸惑いと驚きで声がでない。

「俺が、王様」

 くいっとあたしの顎を自分の方へと向けた。

「毎回、何のために王様ゲームやってると思ってんだよ。お前が逃げたら意味ないだろ」

 逃げんじゃねーよ、と口を塞がれた。

「んんっ...」

 少しの抵抗も許さない強引なキス。

「オレのものになれ」

 隣の部屋から聞こえる仁の笑い声が、遠い。



< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

広い背中

総文字数/6,809

恋愛(その他)13ページ

表紙を見る
吐息-TABOO-

総文字数/796

恋愛(学園)2ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop