魔法の帽子
「あと、シャツ、ボロボロでしょ?トレーナーかなんか貸してあげるから、待ってて」
そういって、すぐ近くのタンスから大きめのトレーナーを探した。
「なあ、瑠美」
「ん〜?」
あれ……トレーナー、ここに入れといたよね?
あたしの頭は今、トレーナーのことでいっぱいなので雅人の問いかけには適当に答える。
「足、まだ痛むか?」
「足〜?まあ、まだ痛いけど湿布はっときゃ、治るっしょ。……ん〜、あ!あった!」
見つけたのは黒の無地の大きめのトレーナー。
元はあたしの今はなくなったお兄ちゃんのだ。