魔法の帽子


魔遊の目はとても冗談を言ってるようには見えない。


「あたし、絶対みたもん!」


「見間違いとかは?」


「え………」


徐々に魔遊の顔から勢いがなくなっていって、


「わかんない………」


ついには俯いてしまった。


「でも…嘘はついてないよ?ホントにそうみえたんだよ?」


あたしは魔遊の頭を軽くぽんぽんと撫でた。


「あたしは魔遊が嘘をついてるなんか思ってないよ。今度とりあえず、調べてみるから、今はご飯食べよ?」


「うんっ!」







―――――――――


同時刻、神社にて……


「いやだ……いやっ!死にたくない!!やっ!!助けて!誰かあ!!!」


怯える女のもとに黒い髪の女が近づく。


『………人を呪えば穴二つ…恨みって怖いものね』


女の目はどこまでも黒く、感情が読み取れない。


「ひっ!!」


そこにどこからか声が響いた。


『凪、早くしろ』


『わかってるわよ』


凪と呼ばれた女は四角い紙を取り出し、自分の指を少し噛み、出てきた血を紙に押し付けた。


「いっいやだ……死に、たくない……!!」


『………。』


凪は少し動きを止めたがすぐに紙を口元に持って行き、唱えだした。


『開け、闇夜の扉、いけにえを受け取り、我に力を授けよ…』


紙を投げつけると途端に魔法陣が現れ、女を閉じ込めた。


「な…によ、これぇ……!出してよぉ!殺さないで!!」


魔法陣はだんだんと小さくなり、ついには、女ごと消えた。


『凪、ご苦労だった。次のいけにえが現れるまで休むがよい。』


『はい、かしこまりました』



そして、凪は消え、神社には誰の声もしなくなった。



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