ちょっとだけよ?
――ちょっとだけ。
そう思えば思うほど


「も………っと……」

あん、出ちゃった

「ん?」

ほら

この人の目にもみるみるうちに暗い影が宿っていく

これが好き。

「もうちょっとだけ……いいよ……」

「彼氏に怒られるんじゃないの?」

そう言う態度にさっきまでの必死さはもうない。

拒否するように胸元に置かれたままの私の手を握ると、何も言わずにネオンが妖しく光る通りに向かって歩きはじめた。
< 4 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop