ALONES
「———!」
ビクリ、と肩を震わせた。
今、僕は何を考えていたのだろう。
蝋燭の灯が可憐に揺らめく中、ぼんやりとした頭を振り、小さく息を吐く。
包帯を巻き終わった彼女の腕を、そっと胸の上へと戻し、
ベッドで眠るその寝顔を暫く見つめて…再び息を吐いた。
―あの後、僕は人魚である彼女を何時間もかけて家に連れ帰った。
無論、彼女の手首には自分で傷つけたであろう深い切り傷が刻まれていて、正直今でも動揺を隠しきれていない。
何の為に?
…とは思わないが、きっと事情あっての事だと思う。
例えば今日が命日になるはずであった、僕のように。
人にも悩みがあるように、人魚にも悩みがあるのだろうか。
そもそも…人魚がこの世界にいる事すら、驚きだけれど。
星が瞬く夜空を一度見上げ、窓を閉める。
少し、寒くなってきた。
もう秋に傾く頃だろうか。
この孤島に来て…もう5年目になるのか、と懐かしき過去を思い出す。
そしてまた、孤独を思い知るのだ。