ALONES






「それ以上は、言うな。」






強くレイチェルを抱きしめたまま、ランベールは強かに言った。



「それ以上は、もう、言わないでくれ。」



と、念を押して。



「今日もどうして貴方がいるのか分からない。」



レイチェルは自分の腕の中で静かに泣く。

抵抗されないのが、救いだった。拒否されて、頬でも叩かれるんじゃないと思っていたから。



もう少しだけ。



もう少し、だけ。




――お前が礼拝堂に行くのを見て、追ってきたのさ。



だなんて言えないから、もう少しだけこのままで。




誰もいなくなった礼拝堂で、時が過ぎる。




暫く会えなくなるのが辛い。


けれど、仕方ない。



自分たちは恋さえ上手くできない、騎士だから。


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