ALONES
別離と船出
思えば、もう何年間も一人で眠っていた。
ごつごつした岩に寄りかかり、長く柔らかい海藻にくるまって、冷たい海の中で朝を待つ。
もう私に、独りの私に、
誰かの優しいぬくもりなど必要ないと、思っていたのに。
――あなたの寝顔が愛おしくて。
何度も見つめては、その腕の中で小さく体を丸める。
何をする訳でもなく…ただ、私を抱きしめ、
子どものように、あどけなく、寝息を立てるあなた。
「アル。」
嬉しくなって、ここにいる事が信じられなくて、でもやっぱり嬉しくて。
「アル。」
顔を埋めて何度も、何度も、
「だぁいすき。」
そう言ったって足りないくらいに、あなたが好き。
すると彼は、ん、と小さく唸って、「まだ寝ていないの。」と目を閉じたまま呟く。
私が早く眠ったら、あなたの寝顔が見れないわ。