ALONES
僕が孤島へ赴いたのは、16歳の時。
それは病が発覚して半年後に、上位貴族達と国王である父が取り決めた事だった。
母は反対したが、彼らの決定を覆すことはできず、
だからと言って、父等の考えもまた道理だった。
オルフィリア王国は世界屈指の大国であり、先進国だ。
故に同盟国が多いのは勿論の事だが、逆にオルフィリアに仇なす敵国が多いのもまた事実。
どんなに些細な弱みでも、他国に悟られれば、国の崩壊へと繋がりかねないのである。
そして、僕がその弱みになってしまった。
次期国王が病など、敵国にとってみれば恰好の餌食以外の何物でも無い。
知られたその瞬間、彼らは裏の組織にに手を回し、僕を殺し、弟を殺し、オルフィリアを全力で潰しにかかるだろう。
本来ならばそういった危機を未然に防ぐため、病が発覚した際に、僕は殺されるはずだった。
それが今日までの歴史であり、王族であれば当たり前に行われてきた事だから。
けれど父は余りにも優しく、誠実だった。
だから悩んだ。
“国を守り、僕を生かし、そして僕の存在を闇に葬るにはどうすればいいか。”
僕を殺すなど、父には到底できなかった。