ALONES
―ガタッ、と音がして目を開けた。
暗かったはずの部屋はすっかり明るくなっていて、…隣で眠っていたはずのアルはもういない。
…あれ、私、いつの間に…。
そう思って体を起こせば、部屋の中心にあるオンボロ椅子に自然と視線が吸い寄せられて、見慣れた背中が当たり前のように目に入る。
―アルだ。
彼は相変わらず、お気に入りの紅茶を飲みながら…国報紙を読んでいた。
彼もまた、私が起きたことに気が付いたのかくるりと振り返ると、
「おはよう。…さっきの音で起こしちゃったかな。」
少し苦笑いをして、私に声をかける。
…さっきの音…?
ああ、あのガタッていう音ね。
自己解釈をして、「ん、そうだけど、」と呟きながらベッドの上で大きな欠伸をすれば、
「まだ眠い?」
アルはまるで私を寝坊助だと言わんばかりに笑う。
「眠くないわよ…。」
思わずむっとして、反論しつつも…悲しきかな、飛び出す欠伸。連発。
そんな私を見て笑う彼を一瞥し、唸りながらベッドから下りると、裸足のままでアルの傍に行き国報紙を覗き込む。