ALONES
* * *
――正直驚いた。
まさか自分の訃報を、自分で知る事になろうとは。
でも…どこかで安心した自分がいるのも事実で。
もう、王子という変なプライドを持ち合わせなくて済む。
それだけでも、大きな肩の荷が降りた気分だった。
それに、レイチェルが僕に会いに来た理由もなんとなく分かった。
きっと国王—父が彼女に命を下したのだろう。
僕を、自由にしてやりたい、だとか言って。
父は優しい。
病を抱えた僕でも、見捨てたりしなかった。
例え生かされているだけだとしても…父はいつも僕を想っていてくれた。
こうして王族と縁の切れた僕にはもう何もない。
けれど大切な人との繋がりは…決して消えないと信じている。
王子でなくとも、オルフィリアの王は僕の父だ。王妃は母だ。
どんな事情があれ、エルヴィスは…弟だ。
城にいる誰か一人でも、僕をまだ覚えていてくれているのなら。
記憶は、人生の財産だ。
僕はその財産を胸にこれからも生きていく。
強く、生きていく。
側にいてくれる君と生きていく。