ALONES


  * * *


――正直驚いた。


まさか自分の訃報を、自分で知る事になろうとは。


でも…どこかで安心した自分がいるのも事実で。

もう、王子という変なプライドを持ち合わせなくて済む。


それだけでも、大きな肩の荷が降りた気分だった。



それに、レイチェルが僕に会いに来た理由もなんとなく分かった。


きっと国王—父が彼女に命を下したのだろう。




僕を、自由にしてやりたい、だとか言って。




父は優しい。

病を抱えた僕でも、見捨てたりしなかった。

例え生かされているだけだとしても…父はいつも僕を想っていてくれた。



こうして王族と縁の切れた僕にはもう何もない。


けれど大切な人との繋がりは…決して消えないと信じている。



王子でなくとも、オルフィリアの王は僕の父だ。王妃は母だ。

どんな事情があれ、エルヴィスは…弟だ。


城にいる誰か一人でも、僕をまだ覚えていてくれているのなら。



記憶は、人生の財産だ。

僕はその財産を胸にこれからも生きていく。



強く、生きていく。


側にいてくれる君と生きていく。

< 127 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop