ALONES
…だからこうして、僕はこの孤島で生かされてきた。
王位継承権を剥奪され、民衆の目に一度も触れる事無く、絶海の孤島シトルイユでその後の5年をたった一人で過ごし、
2週間に一度孤島にやってくる船から食材を受け取った。
けれど結局。
僕はただ、父の情けで生かされていただけだった。
その間にも、病は躰をどんどんと蝕んでいったし、急な階段がある二階には行けなくなった。
辛くて、悲しくて、やるせなくて、できていたことができなくなっていくもどかしさに、何度も苛立ちを覚え、物に当たり、泣きわめき…
それでも僕の悩みを聞いてくれる人など、どこにもいなかった。
だから、命日を決めた。
それだけを糧に今日まで生きて来たのに、嗚呼、どうしてなんだろう。
「…う、」
よく分からない感情が込み上げてきて、小さく嗚咽を上げた。
大粒の涙が僕の服の袖を濡らし、静寂が拍車をかける。
死ねなかったという絶望だろうか、
死ななくて済んだという安心だろうか、
それとも、
自分以外の誰かに出会えたことの…喜びだろうか。