ALONES


すっと口から出たのは、嫌味にも近い言葉だった。

でも、感謝している。



この孤島でなければ、キーラと出会う事も無かっただろう。


けれど、それだけ。



それだけしか感謝してない。分かったか!


心の中で叫べば、自嘲めいた笑いが零れるが、それもすぐに微笑みに変わって。



「…行こう。」




踵を返せば、遠ざかる家、見慣れた風景。

台車に乗せた二つのトランクケースが、僕たちの後を付いてくる。



相変わらず、僕の足は上手く動いてくれなかった。

勿論足だけではなく、手だって、肩だって、上手く動かない。



それでも。


独りじゃないから歩いてゆける。



もう独りじゃない。



もう独りじゃないんだ。



キーラの手を借りて、一歩ずつ孤島を踏みしめる。
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