ALONES

分からないまま、僕は暫く泣き続けた。

受け止めきれなかった涙が、両手から零れ落ち、ぽたぽたと床に染みを作る。


そしてその染みが星のような形を模ってきたころ…

突然、凛とした声が僕の鼓膜を震わせた。



「—そんなに泣くと、目が腫れるわよ。」



え、と顔を上げる。

すると、大きなガラス玉のように碧く大きな瞳が僕を見上げていて。


「あと、頭痛も酷くなるし、いい事なんてない。」


泣くのは損よ、と小さく呟き…彼女は小さくため息を吐いた。


どうやら、僕の泣き声が彼女を起こしてしまったらしい。

情けないやら、恥ずかしいやら…そんな感情をごくりと飲み込んで、僕はぐいっと目尻に溜まった涙を拭うと口を開いた。


「ごめん、起こしちゃったかな。」


そう言えば、彼女は「気にしてないわ。」と少しだけ口元を歪めた。

それから胸の上に置かれていた自分の腕を見つめ、また小さく息を吐く。


「あなたが巻いてくれたのね。」


けれど、そこから感謝の意は伝わってこなかった。

それもそうだろう。

きっと彼女はこのことを喜んではいない。

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