ALONES
教会に向かう道中、キーラは口を開いた。
「……今に、病が流行るわ。あんな菌まみれの巣窟で生きていけるなんて、おかしいわよ。」
彼女言っている事はごもっともだった。
あのような不衛生な生活をしていて彼らは大丈夫なのだろうか。
しかし、僕たちがここで口を出す事ではない。
――そんな事、分かってはいるけれど――。
複雑な気分だった。
けれど今は前に進むしかなかった。
教会が近くに見えてきた頃にはもう、先程の異臭はあまりしなくなった。
水路を流れる水も、少しではあるが綺麗になったような気がして。
貧しさは残るけれど、服装の違和感も徐々に無くなり…先程の地域に比べれば、まだ幾分もマシだった。
安心したように、キーラが大きく息を吸う。
「やっとまともな呼吸ができるようになったわ。」
「…そうだね。」
正直僕も色々と限界だった。
四肢が関節からボトリと落ちてしまいそうなくらいに、足は震え…手も震えている。
「――どこかで休憩しよう。」